はじめに:「広報って1人でやるには広すぎる」
「動画をつくるにも、誰に出てもらうか決められない」「広報用のネタを集めたいけど、誰も協力してくれない…」「やってることが伝わらなくて、社内から“何してるの?”と言われる」
そんな“ひとり広報”のジレンマ、私も痛いほど経験しました。

でも、ある時から考え方を変えたことで、「味方になってくれる人」が少しずつ増え、動画や社内発信もスムーズに進むようになったんです。
今回はその経験をもとに、「社内協力者を味方に変えるコツ」をお伝えします。

映像制作会社を経て、大手企業でインハウスデザイナーを務める。動画を活用した広報施策を多数企画・推進。YouTubeチャンネルの収益化や、社内動画チーム立ち上げを経験。現在は動画制作で独立し企業の広報支援を行っている。
✅ なぜ社内協力が得られないのか?
広報が困る「非協力」の多くは、
- 広報の目的が見えていない
- やることの“効果”が実感できない
- 「何をお願いされるか」が不安(通常業務に支障が出ないか)
という、不信感ではなく、やっていることの“不透明さ”が原因です。
まずはそこからの脱却が必要ということです。

🪄 味方をつくるための工夫 〜 私の実践例より
① 「お願い」より先に「なぜやるか」を共有する
人は目的に納得すれば、協力しやすくなります。
出演をお願いする前に、こう伝えてみてください:
「今回の動画は、〇〇さんの仕事ぶりを外部に伝えたいと思って企画しました」
「自分の仕事が動画で見えるって、ちょっと嬉しくないですか?」
📝 ポイント:その人が“選ばれた理由”を言葉にすること。
例えば部署長など役職者からの推薦があった場合は、選ばれた側も嬉しくないわけがありません。選ばれた理由を必ず共有し、「あなたじゃなきゃいけないんです!」と熱と思いを伝える。
そうすると“オファー”に価値を持たせることができます。
📝 ポイント:協力することによるメリットを伝える。
「協力してもらうことで、こんなメリットがあるんです」と伝えられると、空気は変わります。
| 協力者の立場 | 協力者のメリット(伝え方の例) |
|---|---|
| 社員・現場メンバー | ・仕事ぶりなどが可視化され、評価されやすくなる ・採用や人材定着に影響する (動画公開後に採用応募が増えることが多い) ・「〇〇さんの動画、好評でしたよ!」と社内で話題になる |
| 新人・若手社員 | ・成長・挑戦の場としてアピールできる(自信になる) ・「出てもらってありがとう」と社内での立ち位置が上がる |
| 中間管理職 | ・部署の取り組みが組織横断的に認知される ・上層部や他部署からの信頼・リソース協力につながる |
| 上層部・経営者 | ・ビジョンが動画で社内外に伝わる ・理念の浸透・採用・信用づくりが効率的に進む |

とにかく動画化すると社内外で必ず目立つことになるので、前に出るのが好きな方は、それだけで喜んで協力していただけることが多い。逆に前に出ることを嫌がる方は、「〇〇さんの熱い想いを伝えたい!」と心情に訴えかけるような戦略が協力を得られやすい方法かもしれません。
② 「成果が見える」状態をつくる
- 動画公開後、何回再生されたか
- 社内報でどんな反応があったか
- 社長や上司のひと言でもOK
📌 「出てもらって終わり」ではなく、出演後の変化をフィードバックしましょう。
「見たよ、良かったよ!」の一言が、次の協力者を呼びます。
③ 小さな“ありがとう”を可視化する
- 完成後必ずお礼の連絡と公開の報告をする(協力者の周りにも)
- 社内報でしっかり名前を出す
- 出演者にちょっとしたお礼(お菓子など)を配る
広報は「感謝を可視化する職種」です。
ちょっとした演出でも、「広報に関わると嬉しいことがある」と社内に認知されます。
📌 「出てもらって終わり」ではなく、出演後の変化をフィードバックしましょう。
「見たよ、良かったよ!」の一言が、次の協力者を呼びます。
④ 仲間から仲間へ“協力の輪”を広げる
最初の1人目が一番大変ですが、その1人が突破口になります。
- 社内でフランクに話せる人
- SNSや動画に興味がある人
- 自分の仕事を伝えたい人
こうした人に「一緒に広報を面白くしたい」と伝えると、自然と非公式広報サポーターになってくれます。仲間から仲間を紹介してもらい、さらに仲間を紹介してもらう。協力者の輪をどんどん広げるといったイメージです。

私が社内で動画制作をしていたときも、
初回の出演者は「めちゃくちゃ勇気がいった」と言っていました。そして、その方の出演がきっかけで、 「この雰囲気なら出られそう」と思ってくれた人が現れ、 その人がまた別の人を紹介してくれて…。
気がつけば “社内の広報サポーター”が自然と増えていました。
📝 余談:最強の味方になるのは、最初に疑っていた人
広報時代の経験談
社内でたまにいる「なんで広報なんかに協力しないといけないの?」と懐疑的な人。
私も広報時代にそういった人に何度かあたった記憶があります。
今までにない新たな社内向け企画を進めていた際、一人だけ否定的に捉えていたのがその責任者さんでした。背景や目的を丁寧に共有しましたがどこか納得いかない様子。ですがシリーズものだったのでひとまず試しにと言うことで1本作成しました。

すると…その動画に大きな反響があり各方面から良いコメントが続々と届きました。
そしてコメントの中にはその責任者さんのものもあり「熱いコメント」がもうぎっしりと…。
以降はその方が「次に出るのはこの人どう?」と率先して紹介してくれるようになったんです。「信じてないから拒否」ではなく“まだ信じられていないだけ”の人だったということ。
一度腹落ちして納得すると、誰よりも頼りになる“味方”に変わるということです。
⑤ 撮影現場では「プロっぽさ」を見せすぎない
撮影時に完璧を求めたり、堅い雰囲気をつくると出演者は緊張し、次回以降の協力を渋る原因に。
- 撮影前に“談笑タイム”をつくる
- 「噛んでも全然OKです!」
- 「話がズレても大丈夫。編集でどうにでもできます笑」
など声かけするだけで安心感が生まれます。
撮影は非現実的なことなので、できる限り普段通りを出せる環境“カメラ越しの空気づくり”も広報の仕事の一つです。
📌 企画演出に特化した動画制作
企業の想いや人の魅力をどう引き出すか。
どう設計すれば、見た人が“行動”してくれるか。
企画と演出に強みを持つ私たちが、目的に合った映像を企画からご一緒します。
💬 最後に
一人広報でも「味方が1人いるだけで、回り方がまったく変わる」と私は実感しています。
良い仲間からは良い仲間への繋がりが生まれ、どんどんと相乗効果を産んでいきます。

社内に“広報を一緒に楽しんでくれる人”が1人、2人と増えていくと、発信の質もスピードも格段に上がります。まずは、小さな対話と感謝から。
「協力してくれる人を“つくる”広報」になれたら、一人でもこわくありません。
cotaly(コタリ)では、大手企業での広報実務経験を生かし、広報の内製化支援やサポートを行っています。分からないことや、部分でのご相談などありましたらお気軽にご相談ください。
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目的・ターゲット・納期など、相談前にまとめておけるシートです。
社内共有にもお使いください。







